Colabo不正疑惑に見る、政府から民間へ委託・補助金という仕組み

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福祉を担う主体を、政府から民間へ

左翼活動の不正な資金ヅル?

さて、仁藤氏が有識者会議に参加していることで、現在、進められている新法での仕組み作りが、良からぬ方向へ進められるのではないかということを言う人がいます。民間団体活用という掛け声の下で、左翼活動団体に金が流れるという主張です。

そもそも、補助金(委託)とは、政府からお金を欲しい者が要望し、「じゃ、正々堂々とお金を渡す仕組みを作ります」といって誕生するのです。

「悪を取り除けば良い補助金(委託)制度ができる」と考えている人がいたとしたら、甘すぎると言わざるを得ません。

補助金の中では、特定の一者だけを対象としていたり、領収書1枚で完了したり、基金造成補助金に至っては領収書さえ不要だったりするものもあります。そういう、社会的に必要性が低い補助金に限って、形式的には完璧公正明大に報告書がつくれるのです。

逆に、社会的に必要性が高い補助金は、実情が様々なので、補助金の条件とズレがちなのです。形式的なチェックに終始すれば、利権しかない補助金が免れて、役に立っている補助金だけがダメージを受けかねません。

この補助金(委託)について言えば、この事業は関係機関連絡会議の設置が必須で、不正があっても発覚しやすく、事業規模も1団体あたり数千万円規模にすぎないので、むしろマシな方です。

かつては、筆者も、これによく似た関係者会議に定期的に出席していましたが、あちこちに交番をもっている警察の情報力はすごいです。力関係は、そんなところで決まります。心配されているような方向にはならない思います。

問題はそこじゃなくて、補助金(委託)という仕組みそのものが、恣意的に政治家や役所に気に入られた者へ、合法的にお金を配る仕組みであることが周知されてほしいです。手続きに不正なところがあるから問題なのではなく、手続き的に正しくても仕組みそのものが問題なのです。

これが、「マスコミは、経済格差ばかり問題にするけど、実際には政治格差のほうが、はるかに大きな問題じゃないか」みたいな皆の気づきになったとしたら、大きな意味があったと思います。

マスコミは、自身が政治強者ですからね

お役所仕事でいいの?

制度が変えられるとしたら、筆者は、「冷たいお役所仕事」福祉は、もういいんじゃないかと思います

役所の職員の問題ではありません。組織の問題です。

筆者は、役所のやる気のなさに比べれば、(方向性は支持できませんが)仁藤氏の熱情は評価します。

役所のDNAは「事なかれ主義」です。ですから、役所には最低限の保証の部分を担ってもらったらよくて、そこから上は、民間にまかせたほうがコスパを伴う充実した福祉が実現すると思います。


Colabo方式の福祉(筆者は支持しませんが)も選択肢の一つとして、キリスト教の愛や仏教の慈悲、ヒューマニズムでもいいです。いろんな信念をモチベーションに、政府が福祉を独占せず、民間の提供する福祉も含めて、高いレベルで競い合ってほしいです。

ということで、筆者は、民間団体の力を活用していく方向は大賛成です。いや、「活用」じゃなくて「主体」にするべきです。

政治家や役人は国民より賢く正しい判断ができるという間違った考えは捨てませんか。

政府が補助するのではなく、民間が主体へ

ここから先は、いつ実現できるのか理想を書きます。

公益事業をおこなう民間団体に、役所から委託をしたり、補助金を出したりする仕組みは反対です。それでは、役所や政治家に気に入られた団体が優先的に公益をすることになってしまいます。


現在は、重い税金で国民の「寄付余力を奪う」ことで、政府が福祉財源を独占しています。政府に財源を集めれば、それだけ公金不正は発生します。公金不正を発生させない簡単な方法は、政府にお金と権限を集めないことです。

制度改革の方向としては、公益をおこなう民間団体への寄付金は税額控除できる範囲を広げる税制改革がいいのではないでしょうか。

例えるなら、ふるさと納税のようなものです。ふるさと納税は、自分の住む自治体への税金を、他の自治体に納めるというものです。

同じように、国に納める所得税を、自分が支持する民間団体やプロジェクトに納める(その分、国に納める税は減る)という仕組みを提案します。

「大きな政府は福祉を充実する」は間違いで、「大きな政府は間接経費や政治利権によって福祉を貧しくする」が正しいです。

もう一度繰り返します。政治家や役人は国民より賢く正しい判断ができるという間違った考えは捨てませんか。

国民も間違えることもあり、政治家や役人も間違えることがあります。そして、国民は自分のお金の使い道を間違えて痛い思いをして学びますが、政治家や役人は他人のお金なので学びません。

アメリカでは寄付優遇税制が整っていて

例えば、著名な大富豪ウォーレン・バフェット氏は、

2020年度に
寄付額 290,000万ドル(税控除が認められている)
納税額 2,370万ドル(税率0.1%)

だそうです。

所得税は累進課税であり、高所得者ほど多く払っています。そのため、所得税減税というと「富裕層優遇だ」と文句を言う人がいます。それならば、「福祉に使うために税振込先を変更するだけだ」なら文句はないのではないでしょうか。

人類の長い歴史を見れば、弱者救済のほとんどは民間がおこなってきました。

政府を経由しないなら、公金不正も、起こりようがないですし。

いろいろ書きましたが、今回のことを通して、皆の関心が「スキャンダラスなこと」から「本質的なこと」へ、良い社会を作る方向に向かって欲しいと願います。

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