株式投資する人って金儲けしか考えていない、わけないでしょ。

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筆者は、給料により生計を立てていますが、少額の株を運用しています。きっかけは、アップル製品が好きすぎて、アップルの株を買ってしまったことです。

株式投資といえば金儲けの亡者みたいなイメージを持っている人もいるかもしれません。確かに、お金は増える方がいいに決まっています。でも、なぜお金が増えて欲しいかといえば自分の生活を豊かにしたいからです。

だったら、自分の生活を豊かにしてくれる企業を応援することは、当然です。それが、筆者の場合は、アップルだったのです。

株主になるって、金の亡者なのか?

株式投資を始める動機として、「お金を儲けるため」という人も多いです。

でも、私たちが労働者として仕事をするのも「お金を儲けるため」ではありませんか。筆者も、お金が儲からないのなら仕事なんてしません。でも、労働も株式投資も、同じく卑しいものではありません。

労働が金儲けのためだとといって、客を騙してお金儲けしようと考えているような人も、ほとんどいません。精神衛生上は悪いし、損得でも長い目で見るとマイナスだからです。お客さんに喜んでもらう対価としてお金はいただくもの、とほとんどの人は考えています。そして、その仕事が、社会を良くしていく、発展させていく一助になればいいなあ、と思っています。

株主も同じです。自分だけ儲かれば、社会はどんどん貧しくなってもいいなんて考えている人は、ほとんどいません。というか、そんな考えの人は、株式投資で成功しません。「世の中の人は、何を欲しがっているのかなあ?何を求めているのかなあ?どうしたら、みんなが喜ぶのかなあ?」と日々、考えているからこそ、成長する企業、投資先に目が止まるのであり、最適な株式選定ができるのです。

企業が、社会を良くしていく

企業が豊かさを生み出していく

私たちが、得てきた豊かさを一つ一つ数えてみます。

  • 自動車、電車、近代的な住宅、
  • 洗濯機、冷蔵庫、掃除機、テレビ、
  • スマホ、パソコン、それ以外にも、いくらでもあります

それらは、民間企業なしでは実現しませんでした(もちろん、民間企業のみでも実現できませんでした)。

そして、これからも、企業は、私たちのために豊かさを創り出していていくのであり、株式投資とは、それを実現する企業を資金面で応援することです。

企業のESG重視の事業活動が、SDGs目標につながる

最近、SDGsという言葉をよく目にします。企業にとって、本業の儲けを追求することとSDGsとは、同一線上にあるのか、別なのか、いろんなケースがあるとは思いますが、少なくとも逆方向ではないと思います。

2017年に、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が本格的にスタートすると発表したことで注目を浴びることになったのが「ESG投資」です。

かつては、企業への投資基準は業績や財務状況の分析が主でした。しかし、企業の安定的かつ長期的な成長には、環境(E)や社会問題(S)への取り組み、ガバナンス(G)が重要という考えが広まり、ESG投資が世界的な潮流となっています。

よく似た言葉に、「SDGs」があります。SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略で、持続可能なより良い世界を目指すことを目的に、国・地方団体、企業の全てを含んだ最終目標です。ESGは、SDGsが掲げる目標を経営戦略に組み込むことで、持続的に企業価値が向上するという考え方です。

つまり、企業のESG重視の事業活動が、SDGsの目標達成につながります。

SDGsについては、玉石混合で、ポリコレ的になってる部分もあって、錦の御旗にされるのも何だが。

だからと言って、方向としては無視できないです。

エーザイ(株)の「価値創造レポート」より

つみたてNISAの運用成績(現時点)が、トップであることで知られる「コモンズ30ファンド」を運用するコモンズ投信の渋澤健氏は、内閣府の「新しい資本主義実現会議(第3回)」の中で、下記のように「長期投資家の視点として賃金アップに賛成」と述べています。

渋澤氏が引用したのが、製薬メーカーであるエーザイ(株)の「価値創造レポート 2021」)です。

エーザイ(株)は、 ESGのKPIについて約10年遡ってデータサ ンプルを収集し、それらがPBR(1株当たり純資産)にどのように影響を与えているか分析しました。その結果、ESGがPBRと正の相関があることが明らかになっています。

企業の社会貢献は、企業利益であり、株主にとっても利益なのです。だから、株主は企業に社会貢献を求め、企業は社会貢献をします。

企業に対する社会課題の解決への期待

かつては「企業は(狭義の)金儲けを追求し、そこから生じる社会課題は政府が解決する」という社会観があったかもしれません。しかし、短期的な金儲けしか考えない企業が永続できないことは、わかりきったことです。企業の金儲けとは、消費者の豊かさに貢献することで実現します。さらに、昨今の社会課題は、社会が複雑化たため、政府だけでは解決できなくなってきています。

以下は、経済産業省の「通商白書2021」から抜粋ですが、企業の社会貢献へのシフトは、私たちが考えている以上のスピードで進んでいます。

 このような地球規模の課題に対し、政府や国際機関だけでは対処できず、経済活動に大きな影響を与える企業への期待が大きくなってきている。企業への期待が高まる中、1999 年の世界経済 フォーラム(ダボス会議)では、国連のコフィ―・アナン事務総長(当時)が企業にグローバルな課題解決への参画を求め、企業と国連が共有できる価値についての世界的合意(グローバル・コンパクト:Global Compact)の形成を呼びかけた。(略)

 日本においては、機関投資家の行動原則であるスチュワードシップ・コードや上場企業の行動原則であるコーポレート・ガバナンスコードの再改訂においてもサステナビリティの考慮が言及されるなど、意識の高まりが見られる。

通称白書2021

そして、その意識は、株主(投資家)にも広がっています。株式投資の企業選定にあたって「社会貢献」が重要視されるようになってきています。

 先に示したサステナブル投資額123は日本サステナブル投資フォーラムが国内の47の機関投資家124に行ったアンケートに基づくものであるが、調査対象となった47機関の運用資産に占める割合は半分を超えている。47機関の運用資産は、日本の運用総額の4割以上を占めており日本の資産運用に占める割合は大きく、大手の運用機関であることから企業へのエンゲージメントを通じた影響力は小さくない。(略)

また、2020年の特徴として、個人向け金融商品におけるサステナブル投資の伸びが顕著であることから、サステナブル投資の裾野が広がっていることが伺える。(略)

こうした世の流れからSDGsを始めとする社会課題に対して取り組む企業が増えている。


通称白書2021

投資を通して、社会課題の解決を後押しする

 ニッセイアセットマネジメントが調査した、SDGs達成に熱心な企業の銘柄(外国株式90%、日本株式10%の割合で約400銘柄、それぞれ各銘柄に月次で均等ウエイトで投資したと仮定したシミュレーション)のパフォーマンスは次表のとおりです。2008年12月末~2020年12月末の世界株式のパフォーマンスが353%であったのに対し、SDGs関連銘柄は794%と2倍以上上昇しています

私たちは、消費者として商品を買うときに「この企業は、社会貢献に熱心だから、この企業の商品を買おう」となりますよね。当然に、そういう企業の業績は好調になります。株価パフォーマンスが高くなるのも当然です。消費者の意識が変われば、企業の意識は変わり、投資家の意識も変わるのです。

例え、お金持ちになっても、悪い世の中になるのは嫌ですからね。資産形成の観点からも、SDGsを始めとする社会課題に取り組む企業の株を買って応援することは、理にかなっているのです。

「投資家(株主)=金儲けしか考えてない」は、一部では事実だけど、今では少数派。

「投資家(株主)=投資を通して、資産形成するとともに、社会課題の解決を後押しする」が、これからの時代の正統派の投資(実は古典的な投資)。

 筆者も株式投資歴が長いですから断言しますが、株式投資は儲けようと思って儲けられるものではありません(泣)。

 「この株が儲かりそうだ」なんて思惑で買っても、なかなかうまくいきません。

 一部の天才的な株式投資家を除いて、筆者も含めた大半の投資家にとって最善の方法は、「自分が望む未来の社会を実現してくれそうな企業の株を買う」です。ただ、ビジョンが素晴らしいだけではなく、実力が伴わないと価値がありませんが。

今は高校生に、普通に金融教育がなされているんですね。

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